第14章 新しい仕事
「彼は自分は強いから大丈夫だ、といつも笑うんです。確かに彼は強いのですが、記憶を奪われるほどの大きな力に一人で太刀打ちできるとは私は思えないのです。」
リョンヤンの主張は確かに頷けるものだった。
「そうですね。何が裏で働いているのかわかればいいのですが…。」
「…もし私と彼が一緒にいて、危険な目に遇ったら、本当は彼を守ってほしいと言いたいのです。」
リョンヤンのぽつりと呟いた本音は、聞いてはいけないものだった。そんなことをしては、ハヨンが仕事をしなかったこととなり、罪を問われる。
それに第一、リョンヤンはどうやって身を守るのか。
相づちを打てなくなったハヨンに構わず、リョンヤンは自分の本音を吐き出し続けた。
「何だかんだいって、私は毎回刺客に襲われても難を逃れています。それにリョンヘのようにしょっちゅう不審な事故に遭ったこともありません。それにあまり他の人には言ってはいないのですが、暗器の腕は誰にも負けない自信があるんです。」
そのあとリョンヤンはにっこり笑って、
「すみません、困らせてしまいましたよね。さっきのことは聞かなかったことにしてください。」
と言ったあとは黙って小鳥と戯れていたのだった。
(リョンヘが不審な事故にしょっちゅう遭うなんて…。いくら王権争いと言えど、何だか不穏だな…。少し調べてみよう。)
そう心に決めたあとは、リョンヤンの呟いた言葉が頭の中でぐるぐると繰り返され、ハヨンはどうしたものかと頭を抱えた。