第7章 ステラさんの過去
ステラさんは寝ているようなので、私はソファで家から持ってきた本を読む事にした。
これなら静かだし、邪魔にはならないだろう。
「アオメ、いるのか……?」
本を読んでいたら、不意に声をかけられたので少し驚いてしまった。
「いますよ、起こしちゃいました…?」
「いや、もともと寝ていなかったから大丈夫だ」
ステラさんはそう言って体を起こし、ベッドに座った。
「…キングダム商会って知ってるか?」
私は自分の脳に問いかけてみたが、当てはまる情報はない。
「すみません、聞いたことがないです」
「そうか…とても小さい商会だから知らないのも無理ないな。キングダム商会は裏で暗殺を承っている」
彼がなにか話そうとしているようなので、私はベットの近くの椅子に座る。
「昔、俺たちローレンス家が狙われたんだ。俺たちって言うか…父さんがな。
夜に侵入してきて、次の日の朝を迎えれたのは俺と父さんだけだった。
母や兄弟はみんな死んでしまった…」
昔のことを思い出して辛そうに顔を歪めながらステラさんはポツポツと言葉を紡ぐ。
「俺は奴らが憎い、この手で必ず殺す。
俺はその為だけに裏社会に入ったんだ。
でも、たまにこんな生き方でいいのかと思ってしまう」
悲しそうだった顔が一気に憎悪に満ち溢れた顔になり、また悲しそうな顔をした。
きっとステラさんの中でたくさんの感情が渦巻いているのだろう。