第4章 殺し屋が執事になってみました
無事に危機を乗り越えた私は洗面所で服を脱いでいく。
久しぶりにサラシを取ったので、肌が赤くなってしまっていた。
「っと、ウィッグ外さなきゃ…」
サラシと同様こちらもつけてる時間の方が多いので、つけている事を忘れてしまいそうになる。
ウィッグを外すと背中の半分くらいある長い髪が久しぶりに顔を出す。
「こうすればちゃんと女に見えるんだけどなぁ〜」
なんて呟きながら私は暖かいお風呂に入った。
のぼせそうになってきたのでお風呂の扉を開けた瞬間ーー
黒い燕尾服のすそが見えて、私は瞬時に顔を上げる。
「ーお前タオル忘れて……⁉︎⁉︎⁉︎」
洗面所にバスタオルを持っているステラさんが驚いた顔をしてこちらを見ていた。
「ステラ、さん……うわぁっ///」
ステラさんがいたのにも驚いたが今は
男装をしてないし、裸だったのに気づき急いで扉を閉める。
どうしよ…女だってバレた…
男して生きようと決心してから約1時間、早速バレてしまいました…。
洗面所の方を見るともうステラさんの姿は見えなかったので私はそろり、と扉を開ける。
そして、洗面台に置いてあったバスタオルに手を伸ばした。
「ーぬわぁぁっ!!」
もう少しで届くというところで横から手が伸びてきて、私の手首を掴み、そのまま体ごと引っ張られてしまった。
ステラさんの体に引き寄せられ、勢いがあまり後ろに倒れこむ。
気づいた時には私がステラさんを床ドンする形になっている。
しかし、すぐにステラさんによりひっくり返されて立場は逆転した。