第12章 復讐の始まり
まぁ、見事に彼はすべての質問に答えてくれた。
「へ〜。じゃあ今は大部分の人たちが隣国に行ってるんですね」
なんでもここには普通、300を超える人たちがいるのに私が見たのはほんの50人くらい。
なぜなら隣国の商会を潰しにいってるらしい。
「あぁ、強い奴はいないが量が多いから下っ端を行かせている。今、ここにいるのは精鋭揃いだぞ。制圧までにあと1ヶ月はかかるだろうな」
となると、いくら下っ端といえど数が多いと面倒臭いからあと1ヶ月のうちに作戦を決行するしかないようだ。
「大変そうですね…じゃあっ「待て待て、次は俺も質問させろよー」
次の質問しようとしたら遮られてしまった。
まぁ、確かに一方的に質問しすぎた。
「それじゃあ今までに彼女がいたことは…?」
急にその質問かぁ、と思いつつも教えないのも変だ。
「いませんよ、あいにく生まれた時から殺しやってたので。でも好きになったと言うか憧れていた人はいましたよ」
肩をすくめて自嘲するように言う。
あからさまに嬉しそうな顔をしている彼の口角がさらに上がった。
「じゃあ童貞か〜。うっかりハニートラップにかかんなよっ」
わしゃわしゃ、と頭を撫でられてウィッグがずれるかもと思ったが大丈夫そうだ。
「あっ、少し焦った顔したー!ま、俺のが年上だから経験してるのも当然だがな」
なんて、勘違いをしているがいい気分になっているようなので放っておく。
「にしても、こんないい男を放っておくなんて女も見る目ないなぁ…いや、顔も可愛いし華奢だから女が劣るか」
なんて言っている彼の心臓の鼓動がびっくりするほど速くなっているのに気づいた。
あー、なんかやばい展開になる気がする
そんな予想はやはり当たるものだった。
彼は私を抱いたまま、後ろに倒れたと思ったらクルンと回って私を下にする。
「んっ、どうしました……?」
うつ伏せから仰向けになるとすぐ近くに彼の顔があった。
んー、この形で女だとバレるのもなんかなぁ。
リスクもあるし、様子を見たい。
かと言ってここで断って情報が聞き出せなくなるのも…