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殺し屋が執事になってみました。【R18】

第10章 突然の別れ


「殺す、殺す、殺すっ!ミカ、あいつはどこにいるのっ!?!?」

「ーお姉ちゃんっ、落ち着いてっ!」

食堂を飛び出そうとする私をミカやメルロさんがはばもうとするが、振り払う。

「離してっ!殺さなきゃ、私がっ!あい、つ、をぉぉ……」


もうすぐで出れる、と思ったら頭に大きな衝撃が与えられる。


ぐにゃりと曲がる視界、何かが口から出てきそうになる嘔吐感。

その次にやってきたのは地面に体を押さえ込まれる痛み、悲しそうな声。


「お姉ちゃん、今はダメだよ。…1回眠って」


最後に見えたのは泣いているミカだった。





ーーーー




「気絶…しましたね。驚きました」


メルロさんは乱れた服や髪を整えながら、お姉ちゃんをソファに寝かせた。


自分の手を見ると小刻みに震えていて、肌は青白い。
感じたことのない凄まじい殺気、取り乱して狂気的な目をするお姉ちゃん。

全てが初めてだった。



「ミカゲさん、アオメさんの父は一体彼女に何を……」


「それは分かりません。

一度だけ昔に父が大嫌いだ、という話は聞いたきりです。

僕はてっきりお姉ちゃんは知ってると思って…まさか、こんなことになるとは思ってませんでした」


荒れた食堂を直しつつ、お姉ちゃんを見たら両目から涙を流していた。


「でも僕のせいで彼女の過去を掘り返してしまった…。きっと、封印してたんだ。心の奥深くに」


「….まだアオメの殺気が残ってる。すごく痛いよ。おかしくなりそうだ」


クレナさんも虚ろな目をしてその場に座り込み震えていた。

この状況で分かったことは3つ。

1つはステラさんとお姉ちゃんとの間に大きな溝が生まれたこと。

1つはお姉ちゃんの過去に触れてはいけないこと。

もう1つはまだ何もかもが始まったばかりということ。


「どなたかステラさんの誤解を解いてください。僕はお姉ちゃんの方をなんとかしますから…」


そうしてお姉ちゃんを抱っこした僕は部屋にへと運んだ。



「泣かないでよ、お姉ちゃん」


ベットに寝かせてそっと頭を撫でる。


「もうお姉ちゃんじゃないか…。」


少なくともさっきのお姉ちゃんは僕の知ってるお姉ちゃんではない。


「怖いよ、アオメが。僕がありえない攻撃、苦手なの知ってるでしょ?」


なんて弱みはいても慰めてくれる人はいない。



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