第8章 忍び寄る恐怖と出会い
「ーーあ、そこ泣きながら書いたから涙でぼやけてるね…」
不意に聞こえた声に私は全身が凍りつく。
「朝ごはん作ってくれたの?ありがとう」
そう言って私を後ろから抱きしめてきた。
なんて言えばいいのか分からないほどの恐怖が私を取り巻く。
殺気とは違う狂気的な愛とでも呼べばいいのだろうか。
声が出ない…ミカが怖い…
「どうしたの?震えてるけど…。
朝起きたら隣にお姉ちゃんいないからビックリしたよ。何処にも行かないで」
耳元でそう囁くと彼は私の手から日記を取り、何事もなかったかのように向かいの席に座った。
ーパンッ
「さ、食べよっかっ!いただきます」
不意に彼が手を叩いた瞬間、私は呪縛から解かれ体が動くようになった。
「い、いただきます…」
今のはなんだったのだろう…。
背中には冷や汗が伝っているのが分かる。
とにかく彼を敵にしてはならないことがよく分かった。