第5章 ウサギのお仕事
「え、何であなたがここに?」
「もちろん君に守ってもらうためさ。」
「守るって何から・・・。」
「それは今から話す。」
何でこの子がまた僕の前にいるんだ。
この子はあの時死んだはずじゃ・・・。
「よーし、じゃあまずは俺が何故ここに居るかを
説明する。」
俺の名前は香月紅音、女みたいな名前だが男だ。
昔、クマからオマエを助けたのは俺じゃない。
俺は助けて死んだヤツの生まれ変わりだ。
でも、俺はアイツと同じ記憶がある
だからお前の事も知ってる。
「生まれ変わり?」
「そうだ、オマエがウサギだったころから
記憶はある。」
「ウサギだった?」
「鏡を見てみろ。」
そういわれ僕は鏡を見た。
そこに映っていたのは僕ではないが僕だった。
長くふわふわした白髪に、白い肌、紅い瞳
どう見ても人間の少女だ。
「え、誰この美少女。」
「自分で言うな!」
オマエはあの森の妖精の力で人間になったんだ。
そして俺が生まれてくるまでずっと眠ってた。
「何で人間に?」
「オマエが願ったからだ。」
「俺を助けられる力が欲しいと。」
「どうして知ってるの?」
「俺には人の心が読めてしまうんだ。」
「じゃあ今僕が考えていることも?」
「あぁ、木の実が食べたいんだろ。」
「すごい、でもなんかやだ。」
「ずっと見てるわけじゃない、いくつか条件を
満たさないと使えないんだ。」
「でも、この力を狙うやつがいる。
お前の仕事はそいつらから俺を守ることだ。」