第2章 脱獄者
_____11区、アオギリアジト壊滅後。
「追ってはなし、か」
夜にこのまま身を潜めれば、アオギリもCCGも追って来ないだろう。
ひとつ息をもらすと、気配を感じた。
「カネキ....!!」
「..万丈さん」
「用事ってのは、済んだんだな」
「……はい」
万丈さんの後ろにいた四人を軽く確かめる。
月山さん、西尾さん、ウタさん、ヨモさん、そしてヨモさんに抱えられたトーカちゃん。
この戦いで得たものの重さは違えど、全員が無事だった。
ふと潰滅したアオギリのアジトを見渡す。CCGは既に引き上げを開始し、ヘリや特別車両は見当たらない。
「終わったようだな」「………」
今日決行されたアオギリの樹本拠地掃討作戦は、ほぼCCG側の勝利で幕を下ろした。
多くの喰種が死に、アジトは壊滅。
そして僕は、解放されることになった。
「こんな死にそうな思いしてしばらくしたら
普通に大学行くとか…信じらんねー」
「いやー、日常の大切さが身に染みるね、きっと」
「あんていくの仕事もあるしな…ダリィ」
あんていく。
人間でも喰種でもなかった僕を受け入れてくれた、
大切な場所。
今僕の中で、何かが変わっていった。
ふいにトーカちゃんが、口を開いた。
「戻ったら髪、どうにかしなよ」
この世のものとは思えない耐えがたい拷問を受け、
僕の髪は色素が抜けて真っ白になってしまっていた。
「そんなんで店立たれちゃ目立ってしょうがないもん」
「…僕はあんていくには戻らないよ」
「…!」