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俺らのマネは地味子さん。

第8章 FIVE





「嫌や」

「ねぇ、亮」

「章ちゃんは俺を売る気か」

「まさか!
そんなわけないじゃん!!」

「じゃ、何で無理矢理やらせるねん」

「だって、仕事やで」

「仕事でも嫌なもんは嫌や!」

ロケバスの中、ストライキを起こしているのは錦戸さん。
それを安田さんが宥めているが一向にバスから降りてくる気配は無い。

私は、出口の前で待機して2人を待っていた。

はぁ・・
だから、この仕事の時再確認したんのよ。

この仕事を入れたのは山田さん。
確認した時、確かめたが山田さんは笑って大丈夫だと言った。

なのに、この状態は一体何!?

「だから!章ちゃんも知ってんだろ!?」

「勿論知ってるよ。
亮がお化けが怖いって」

「怖いんじゃねぇ!!」

そう、今回のロケは夏オープンする予定のリアルお化け屋敷。
休園日を利用して、その体験VTR撮りだ。

「驚かせる物が苦手なだけや!!」

村上さんの話だと、錦戸さんはリアクションが大得意。
だけど、この感じだと大得意ってよりただのビビリ・・・

はぁ・・
何が大丈夫なのよ、山田さん。

そろそろ撮影が始まる時間。
時間を確認して、私はロケバスに入った。


「錦戸さん、安田さんお時間です」

「・・・」
「はーい、亮行くよ」

「・・・行かなーダメ?」

「・・上目遣いしてもダメ。
お仕事です」

見るからにテンション下げ、落ち込む錦戸さん。
顔を上げたと思った途端、キリッと私を睨み付けた。

「お前、何でこんな仕事取ってくんねん!!!」

矛先が私に向いたのは、明らかだ。

八つ当たりだとわかってる。
山田さんが取ってきた仕事だけどそれは言い訳にしかならない。

私がすべき事は、この錦戸さんをカメラの前に立たせお化け屋敷に入ってもらう事。









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