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俺らのマネは地味子さん。

第5章 TWO





電話が終わったかと思うと手帳を取り出しパラパラと捲る音が聞こえてきた。

話しかけんでも問題ない空気にホッとする。
俺は、黙って外を見続けた。

車に揺られ30分、もうすぐホテルに着く。

えっ?

急に肩に重みを感じる。
パッと見ると白元の頭が俺の肩に乗ってた。

えっ?寝てるん?!

そっと覗き込むと寝てた。
静かな寝息が聞こえてくる。

少し動いたせいで手にあった手帳が滑り落ちそうになり、慌ててつかんだが起きた様子はない。


「あれ?白元ちゃん寝たん?」

「へぇ、珍しいなー」

確かに珍しい。
寝ている姿なんて1度も見た事ねぇ。

分厚い手帳。
興味が湧き、中を見る。

・・・ほんま、この女いつ寝てるねん。

俺たちのマネージャー業に加え、これからの仕事や打ち合わせ。
裏方のスケジュールが事細かに書かれてた。

仕事は完璧にこなしている。
それは、認めなきゃいけない事実なのはわかってんねん。

でもな・・


「・・なぁ、山田。
この前の話どーなった?」

「えっ?この前?」

「履歴書や」

忘れたワケやないやろ。
明らかに動揺して、上擦った声が聞こえる。

「そ、そ、捜索中です」

捜索中って・・
何ヶ月かかるんだよ。

「・・なぁ、亮ちゃん。
知りたきゃ白元さんに聞けば?」

寝てるかと思ってた大倉の言葉。
いつもなら移動中必ず寝てるはずや。

「白元さん、聞いた事答えてくれるで、多分」

「大倉の言う通りや、亮ちゃん」

章ちゃんまで同じ事言い出した。

ほんまは、わかってんねん。
この女はちゃんと答えてくれるって・・

だけどな、聞けんねん。
どんな顔して聞けちゅうや。

親しく話しかけるにも最初の反発が効いている。
っうか!何で俺なら親しくせんでもええやろ!?

おかしな事考えるな、俺っっ!!








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