第16章 THIRTEEN
ー横山sideー
流石や。
こんな素早く動くとな。
「どーゆう事や」
怒りを含んだ声色。
一生懸命、怒りを止めようと努力してんやろーな。
「言葉の通りや」
「いつだ」
「オカンの墓参りに行く日。
朝、白元が俺を迎えに来た時や」
「・・・」
殴ればええのに・・
ここまで行動してて、それでも留めておく気か?
えらい、根性やで。
「ヨコ」
すばるの声が鋭い。
だが、今ここでヒナから視線を逸らすわけにはいかない。
「無理矢理キスした。
白元を抱こうとしたんやで、俺。
アイツ、震えて泣いてーーー!!」
最後まで言えへんかった。
頬に衝撃が走り、身体が床に触れる。
殴られたと気付いた時には、震えるヒナが俺を見下ろしてた。
「これ以上言うんやねぇッ!!」
「・・俺、お前に殴られる理由わからへん。
お前が怒る理由ないよな」
「・・・」
「だったら聞けや、最後まで。
俺が白元にした事全て聞け」
そう切り出した俺は、次の言葉を口にしようとした。
その瞬間、ヒナの手が再び胸倉を掴む。
「信ちゃんッ!!」
「あかん!!」
馬乗りになるヒナ。
「これ以上言うんだったら、俺はお前を許さへん」
「・・何で?」
「何でって!!
お前、本気でゆーてんのか!!」
「だって、わからへんもん。
何でヒナそんなに怒ってんの?」
「お前がッ!
・・・・・クソッ!!」
手を離したヒナ。
そのまま、俺から離れしまう。
あかん。
冷静になりやがった。