第4章 ONE
ー錦戸sideー
あかん、マジ ガキや。
苛立ちを抑える事が出来ず、思わず楽屋を飛び出した。
暴力に走らんやった自分自身を褒めたい。
それほど、あの女の言葉を効いた。
痛かったんや。
居場所も無く、渋々ながら楽屋を目指す。
もうじき撮影が始まる。
メンバーに迷惑かけるわけにはいかなかった。
俺のせいで撮影が押していたのはわかってる。
本当なら関ジャニ1本に絞りたいんやけどな・・・
事務所の都合。
NEWSのメンバー。
関ジャニのメンバー。
どっち付かずな俺は、他から見たらどー思われてるんやろーか。
「初めまして、関ジャニ∞のマネージャーになりました白元あずみと申します。
よろしくお願いします」
聞き覚えある声。
落ち着いた気持ちがぶり返す。
スタジオを覗くと番組プロデューサーに頭を下げているあの女の姿。
お手本にした様な綺麗な一礼だった。
俺らの前で見せた顔とは打って変わって笑顔。
「チッ・・」
何故か舌打ちが出る。
普通なら挨拶回りに感心するが何故だろう、この気持ちは・・
スタジオを横目に俺は楽屋へ足を向けた。
廊下からでもわかる、楽屋内の騒々しさ。
いつもの雰囲気や と、俺は胸を撫で下ろした。
尾を引かず、受け入れてくれるメンバーに俺はいつも助かっていたんや。