第11章 リクエスト作品 ハニーに首ったけ〜カラ松〜
約束の時間まであと10分。
はやる気持ちを抑えながら駅へ向かう。
いつも彼が先に着いてるから、今日は私が待っててあげようと思ったんだけど。
「フッ、来たか」
今日もカラ松の方が早かったみたい。
壁によりかかっていたカラ松は、口角を上げながらかけていたサングラスを頭に乗せた。そんな残念な仕草だってカラ松ならカッコいい。
「おまたせっ♪」
ニコリと微笑みかければ、頬を染めて視線を逸らされた。か、かわいい…!カラ松が照れてる…!
照れた顔をジッと見つめていると、カラ松はそっぽ向きながらすぐにポケットの手を差し出してきた。
「さあ行くか。忘れられない1日にしてやるよ」
「いっつもそれ言うね?」
「い、いつも忘れて欲しくないからな」
困ったように笑いながら、手をキュッと結ばれる。
「言われなくてもいっつも忘れないよ?」
繋いだ手に身体を寄せて密着する。だって、1ミリも離れていたくないんだもん。
「っおい、近すぎるぞ主!?」
「え?嫌?」
「嫌ではないがいきなりおっぱ……フーン!積極的すぎないか?お楽しみは夜まで取っておいた方が」「どうして声裏返ってるの?」
カラ松はサングラスで目を隠す。
「す、少し喉をやられたらしい。げほっごほっ」
「え?もしかして風邪?」
少し背伸びをして額に手を当ててみる。
「うーん熱はないと思うけど顔赤いね。デート中止して休んだ方が良いんじゃない?」
「なっ!?」
一瞬この世の終わりみたいな表情になった気がしたけど気のせいだよね?
と、突然繋いだ手の力が強められグイと引っ張られた。
「中止になんかしない。早く行くぞ」
「う…うん」
私は、いつも優しい彼が時折見せる強引なところがとっても好きだ。