第12章 困惑と抱擁
「…そんな簡単に、死ねないよ。私は…」
『それでも、です。貴女は女性で、私は男。
と言う事で…』
「へ?…きゃッ!?」
急に体が浮いたと思ったら、ジャーファルさんの顔が…
ち…近い。
って、これって…お姫さま抱っこ?
「ちょっ!!一人で歩けるし、恥ずかしいから降ろして下さい!!」
『降ろしてもいいですが…』
「…?」
『何があったか言えば、降ろしてあげます(ニッコリ)』
「う"…」
その笑顔が、今の私にとって悪魔に見えるわ…
『さっき、紫に今の私と同じ事をされましたからね』
「紫に?」
『でも、まぁ…少なくとも、信用はされてるみたいです』
私の一部である紫が…
だとしたら、私自身もジャーファルさんを認めていると言う事だ。
『すぐでなくて、いいんです』
「……」
『貴女が、私を必要とした時だけでも…
少しずつ、紫水を教えて下さい』
そんな事言われたら、利用なんて出来ない。