第9章 苛立ちと時間
ー…紫水ー
ん…?あれ…?
ーこちらの世界には慣れたか?ー
約束、違くない?
2つの願い事は、どこにいったの…
ーお主のように長い時を生きてる者ならば、言わなくてもわかるじゃろ?ー
まずは、第一印象で見極めろ。
そう言う事?
ーいかにも…ー
結果から言えば、私は必要ないと思うんだけど…
ーお主…先程、帰りたいと言っておったな…ー
それが、何?
ー帰ってどうする…?ー
どうもしない。"あの人"が帰ってくるのを待つだけ…
ーそれなら、こちらの世界の人間はどうする?死んでも構わないと?ー
あのさ…私には、待ってなきゃいけない人がいるのは知ってるよね…
それなのに、無理に連れてきたのは貴方でしょ?
ーお主には、それが必要な事だからな…ー
は?意味がわからない。
とりあえず、帰り方教えてくれない?
ー帰り方は…お主の力が目覚めた場所で強く望めー
力が目覚めた場所?
ーその力を使えば、わしと契約した事になるー
ちょっと!!それって…
ーお主には、逃げることはできぬよー
───
マス『大丈夫ッスか?』
目を開くと、マスルールさんが心配そうに覗きこんでいた。
「おはよ。大丈夫…だと…思う」
あのじぃさん、私に必要な事とか言ってたけど…
わけがわからない…
マス『何かありましたか?』
「帰り方がね…わかりそうなの…」
マス『そうッスか…』
でも、帰ることができても契約した事になるなんて…
返品不可なんて、どこの押し売りだっての。