第8章 救世主◎
「俺は、お前の兄貴代わりのやつに色んなものを盗まれた」
「え…」
バンが盗み…?
「その様子じゃ知らないようだな」
「な、なにを…」
私は、言われる前に何か嫌な予感がした。
なんとなく、わかる気がした。
「アイツはあの男は、盗っ人だ」
「え…」
サーッと血の気が引くのがわかった。
当たったっていうのと、
事実だったんだっていうショックさ。
「そして、お前は盗んできたものや盗んで売ったその金で生きてきたんだ。どこかの誰かが苦しい思いしてきてるなかでな」
そんな……
「言葉も出ないか?そうか、そうだろーな」
いろんな人を犠牲にして、
私は生きてきたっていうの??
それなら、私…こんな病弱でいつ死ぬかもわからない…こんなのが……なんで…先にいなくなるべきなのに…
「そこでだ。俺は、お前を誘拐した。やられたように…そして、お前には働いてもらう」
「は、はたらく…?」
「そうだ。そんな罪悪感でいっぱいなんて嫌だろう?今までの分稼いで返せばいい。そしたら、盗っ人の妹なんて言われなさいさ」
…そうかもしれない。
私が働けば、バンも盗まなくて済む。
そういうことだよね…