第1章 今まで
「今日は何かあった?」
「特にねえ♪」
…とかいって、ほんとはあるんだろうな。
幼い頃に見ていた景色が最後だからきっと変わってるのだろう。
「ねぇ、バン?最近、体調いいから…明日少し散歩してもいい……かな?」
思い切ったことを聞いたと思う。
駄目って言われるのを承知で私はバンに聞いた。
「俺は付いてやれねぇけど、いいぜ?でも、これちゃんと首にかけておけな♪」
バンは、私にペンダントをかける。
そのペンダントは可愛らしい花の形をしていた。
「バン、これ?」
「裏、住所書いてあるから倒れても安心だろ♪」
私は、バンの優しさにぽろりと涙を零した。
「うぅ、、ありがとうバン」
バンは私の頭を優しくなでた。
その手の温もりは優しく、よく落ち着いた。