第5章 ‐4‐
「あのね、お兄ちゃんね
お母さん達が殺されちゃうとこ見たんだって。」
「...え?!」
「たまたま、らしいんだけど。
公園を歩いてたらお母さん達見つけて、
駆け寄ろうとしたら後ろから変な男が居て、
その人は刃物を持ってお母さん達を刺したの
お兄ちゃんは慌てて駆け寄ったけど即死。
お母さんもお父さんも、血だらけで....
あまりのショックにお兄ちゃん気を失ったんだ
それからなんだよ、お兄ちゃん変わったの」
守れなかった家族。
今度は失いたくなくて、
お兄ちゃんは私の傍から離れなかった。
例え近づくものが良い人でも、
お兄ちゃんはその人さえも敵とみなした。
そう、城宮家の人達も....。
「あんな強がってるけどね、本当は
みんなと仲良くしたい筈なんだ。
ただ、怖いだけなんだよ」
家族が出来たら、
再びまた失うかもしれないという怖さ。
私には気持ちがよく分かるから。
何も言えないんだけれど。