第1章 "何もかもが"
運命…?運命のレディって…
初めて実際に言ってるところに出くわしたよ!
「...ジタンお前こんなところまで女連れてくんのやめろ」
「いいじゃねえか!空いてる部屋あるだろ?」
「一体どこでそんな可愛い子見つけてきたずら?」
「リンドブルムの酒場でさあ!頭にびびっときたんだよなあ!」
知らない地名が飛び交っている中、
頭が混乱しているのを無理やり落ち着かせ
今の状況を考えてみる。
さっきジタンさんが呼んだのは
捕まえるためではなく私を説明するため。
そして私は今リンド、ブルム?で出会った
運命のレディ。なんだこれ恥ずかしいな。
でも実際私はジタンさんにあったことはない。
つまり嘘をついて庇ってくれたってこと…?
でもなんで…
そう首をひねりながら考えていると、
ふと自分の手を誰かが力強く握ったような感触が。
なんだか暖かくてひどく安心する。
「なにか事情があるんだろ?大丈夫、俺にまかせな!」
耳元で小さく聞こえたその声に、ジタンさんの声に、
思わず涙が出る。
「おい、シナ。お前のせいでレディが泣いちまったじゃねえか」
「失礼ずら!」
「お前らが騒ぐからだろ!じゃあちょっくら部屋に案内してくる」
行こう、と肩を支えてもらい
ガタガタと微かに揺れる部屋を
少しずつ、ゆっくり歩きながら出た。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「...俺のこと完全に忘れていたっスよね?」
「マーカス...悪かったずら」