第6章 Firefly
【翔side】
明け方。
智くんは帰っていった。『じゃあ、また後でね』って、腰を擦りながら真っ赤な目をして....
俺たちは、こんな関係になる前から、同じグループのメンバーで。
こんな気持ちと身体でも、またすぐに、君の顔を見て微笑まなければいけないんだ...
それから、暫く眠って、お昼に迎えにきたマネージャーの車で、お台場を目指した。
「櫻井くん、目が腫れてるけど、大丈夫??」
心配そうにミラーで俺のこと見る彼に、
「大丈夫!朝まで飲んでたからさ!!」
と元気に言ってみせた。
VSの収録。
楽屋で雅紀と顔を合わせると、驚いたような顔して俺を見たけど、何も言わなかった。
...松潤は、そんな俺たちをじっと見ていた。
そこへ、ニノがやってきて俺たちをパッと見回し、俺の顔を見て、雅紀と同じ反応をしたけど、何も言わなかった。
重苦しい空気が、楽屋を包んできた。
ギリギリに智くんが入ってきた。ひょこひょこと可笑しな歩き方で腰をさすっている。
......俺のせいだ...
すると、ニノが、
「何やってんの?そんな恰好でできるの??」
怒ってる声だったけど、俺は二人は見なかった。
収録が始まると、俺たちはいつもの『仲良し嵐』を演じる。和気あいあい、にこやかに、いつも通りの連係プレーで。
その裏では、ドロドロでギスギスした関係が、修復不可能なとところまで来てることに、誰も気付きやしないだろう。
なんでこんなことになってしまったんだろう?
....全部、俺が蒔いた種、だな...
俺は、セットの裏で、スタッフにジャンピングシューターは今日はできないから、他のゲームと交代してくれるように、頼み込んでいた。
とてもじゃないけど、ジャンプする体力が残っていなくて。
そんな俺の後ろ姿を、雅紀が泣きそうな顔で見てたこと、知らなかったんだ。
思い詰めた目で見てたこと....
何とか収録を終え、帰ろうとすると、廊下の隅からニノの声が聞こえた。
「どうかしてるよ!ふたりとも...そんな動けなくなるほどまでヤルなよ!!!」
慌てて立ち去ろうとした俺の耳に、智くんの声が届いた。
「もう、翔くんとは、
終わりにするから...」
俺は目をぎゅっと瞑って、追われるようにその場を後にした。