第4章 Sugar and Salt
【潤side】
「大事な話があるんだけど。今夜、二人で飲みに行こうよ」
翔さんを誘い出したのは、リーダーの後をつけてから一ヶ月後。
今日はちょっとなんて言うから、リーダーと月曜日のことでって耳元で囁いたら、途端に顔色変えて、頷いた。
よく行くワインバーのカウンターの奥に、並んで座る。
翔さんは、すごく固い表情で、目の前に置かれた赤ワインの入ったグラスを睨み付けていた。
「…智くんと月曜日って、なんのことだよ」
へぇ、しらを切るつもりなんだ。
「俺さ、見ちゃったんだよね。リーダーが、月曜の夜、翔さんちに入ってくの」
ピクリと眉を動かしたけど、表情は変わらない。
「それは…たまたま、飲む約束してたから」
「でもその時間、翔さんはZEROに出てたんだよな。ね、リーダーって合鍵でも持ってんの?」
「…その日は、貸してたんだよ」
「付き合ってるはずの相葉さんにも、貸さないのに?ずいぶんリーダーには信頼厚いんだね?」
そう言うと、ぐっと言葉に詰まった。
「なんか、変だなぁって思ってさ、それから翔さんとリーダーのこと、ずっと見てたんだ。そしたらさ、判っちゃったんだよね〜」
「…なにが?」
彼の声が、地を這うように低くなる。
「二人が、月曜日だけこっそり会ってること」
俺の言葉に、大きく目を見開いた。
「そのこと、相葉さんには隠してるんでしょ?ただ飲んでるだけなら、隠す必要なんかないよね?じゃあなんで隠してんのか…答えはひとつじゃない?」
翔さんは、なにも言わずに睨み付けるように俺を見つめてる。
俺は、無意識にぎゅっと拳を握りしめた。
「…月曜、あんたたちは抱き合ってる」
賭け、だった。
確信があったわけじゃない。
ただの妄想だ。
一蹴されれば、引き下がるしかなかった。
でも、驚愕に見開かれたその漆黒の瞳が、俺に勝利を告げる。
思わず、笑みが零れた。
「俺の言うこと聞いてくれたら、相葉さんには黙っていてやるよ」
まさか、こんなに上手くいくとは思わなかった。
「…なんだよ?」
あんたなら、うまくかわすと思ってたのに。
「俺も、そこに交ぜてよ。別に付き合ってなんて、言わないからさ」
あんたにとって、リーダーの存在ってそんなに大きいの…?
「俺、あんたが欲しいんだよ」
ねぇ、翔さん……………