第4章 Sugar and Salt
【潤side】
その日、俺はリーダーと二人で雑誌の撮影で。
8時には終わる予定だったのが、機材が故障して大幅に時間が押していた。
ようやく終わったのは、もう11時過ぎ。
「リーダー、たまには飯でも食ってく?」
楽屋に戻って声を掛けたら、普段見ないくらいの慌てた様子で荷物を纏めてる。
「え?あ、今日はいいや。疲れたし」
なんて言いながら、あっという間に荷物を肩にかけた。
「じゃあ、送ってくよ。俺、車で来てるし」
「え?あ、えと…」
「送ってく。マネージャー帰っちゃっただろ?」
「あ〜、うん、じゃあ、頼むわ…」
俺が荷物を纏めてる間、リーダーはやたらチラチラとスマホを確認してて。
車に乗ってる間も、何回も画面を見てる。
「なに?なんか、あんの?」
俺が聞くと、「いや、なんも…」って言葉を濁して。
普段とは明らかに違う様子が、気になって仕方なかった。
「ここでいいや」
リーダーが言ったのは、マンションから少し離れた大通りで。
「え?前まで送るよ。こんなとこじゃ…」
「大丈夫。ここでいいから、止めて」
強引に車を止めさせて、「あんがと」ってさっさと降りてしまった。
気になって、車を走らせて、リーダーの姿がギリギリ見える位置に路駐してバックミラーでその姿を確認する。
きょろきょろと周りを見回した彼は、徐に手を上げて一台のタクシーを捕まえた。
どこ行くんだ?こんな時間に……。
タクシーが俺の車の横を通り抜けて。
その後部座席にリーダーの姿を確認した。
俺は急いでギアを入れて、それを追いかける。
なんでそんなことしてんのか、自分でもわかんなかったけど。
なぜだか、リーダーの行く先が気になって仕方なかった。
タクシーは、夜の街を縫うように走って。
あるマンションの前で、止まった。
ここって……。
俺も、その少し後ろに車を止めて様子を伺う。
すると、ドアが開いてリーダーが慌てた様子で降りてきて。
走って、エントランスへと消えた。
タクシーがいなくなってから、そのエントランスの真ん前に車を移動させると、そこにはもう姿はなくて。
カーナビをつけ、ワンセグで日テレにチャンネルを合わせる。
ちょうど、翔さんがお辞儀をして、ZEROが終わったところだった。
なんで、リーダーが翔さんちに?
それは、つまり…………………