第2章 Rigth Back To You
【雅紀side】
全然いいよ〜返事はいつでも構わないから、なんて強がってみせたけど。
ほんとは毎日毎日、翔ちゃんから連絡あるかもって肌身離さずスマホを持ち歩いてた。
シャワー浴びるときも、防水ケースに入れて浴室まで持ち込んで。
でも、翔ちゃんから連絡はなくて。
やっぱ、ダメなのかなぁ……
ダメだったら、俺、嵐辞めなきゃならないのかな……
なんであんなこと、言っちゃったんだろう……
なんて後悔しながら、VSの収録日を迎えた。
だけど、翔ちゃんの視線が怖くて、収録中まともに顔も見れなくて。
収録が終わって、急いで楽屋を出ようとしたら。
「…相葉くん…」
背中から、翔ちゃんの呼ぶ声がして。
俺は、飛び上がった。
「は、はい。なん、でしょうか…?」
「これからちょっと、時間ある?」
きた!
来ちゃったよ、この時が…。
「あ、う、うん。大丈夫」
「じゃあ、ちょっと付き合ってくんない?」
「う、うん。わかった…」
ほんとは怖くて逃げ出したい。
けど、そんなこと出来るわけない。
俺は、翔ちゃんマネの車に乗って、翔ちゃんの行きつけという居酒屋に連れてこられた。
「じゃあ、お疲れさま」
飛び出しそうにばくばくしてる心臓をなんとか宥めて、笑顔で乾杯して。
「きょ、今日はスゴかったね!最後大逆転でさ〜」
「相葉くん」
とりあえず、関係ない話して心を落ち着けようと思ったのに。
それを遮って、翔ちゃんが真っ直ぐに見つめてきた。
……きた……。
「は、はい」
「この間の、返事、だけど……」
「あ、うん……」
翔ちゃんの瞳が、一瞬大きく揺らいで。
ああ、ダメだったんだ……。
思わず、ぎゅっと目を瞑った。
「……いい、よ……」
…だよね。ダメだよね。
ダメ……じゃない?
いいよ?
「え?え、え、え?い、いいの!?」
目を開いて、思わず身を乗り出すと。
翔ちゃんは、すごく綺麗な笑顔で俺を見てた。
「うん。いいよ。付き合おう」
「ほんと?ほんとにほんと?ドッキリとかじゃないよね?」
「ちげーよ…」
俺の言葉に、小さくそう言う。
「……翔ちゃん、あり、がと……」
嬉しくて嬉しくて。
涙が、込み上げてきて。
しゃくり上げる程に泣き出してしまった俺の頭を、翔ちゃんの手がそっと撫でてくれた。