第14章 イチオクノホシ
【智side】
「明日は、何時?」
取材が終わってマンションへ戻る車の中。
いつものように聞いた俺に、マネージャーは変な顔をした。
「明日…はオフですよね?」
「はぁ?」
今度は俺が変な顔をする番だった。
「いや、大野さん、明日から5日間のオフです。映画もクランクアップしたことですし、今年はスケジュール詰まってたので、少し長めの休暇をと…聞いてませんでしたか?」
「知らないよ、そんなの!早く言ってよ!」
知ってたら、船予約したのに!
あ、でも5日間もあるなら、焦ることないか。
まあ2日は釣りに行くとして…
1日くらいは、翔くんとオフ重なんないかなぁ…
たまにはさ、ゆっくり二人きりになりたい。
だってちゃんと付き合うことになってから、ずっと仕事がたて込んでて。
夜、部屋に入るとそのままベッドに直行して、2回くらいエッチして、そのまま寝ちゃうことばっかりで。
あの頃と変わんないんだもん…
たまにはゆっくり酒を飲みながら話をしたりしたい。
せっかく、心が通じ合うことができたんだから…。
「え〜?おかしいなぁ…」
考えてる間、マネは何度も首を捻ってる。
「なにがだよ?」
「櫻井さんが、大野さんに伝えておくからって言ってたんですけどねぇ?」
翔くんが?
その後、自分のマンションへ帰りソファに座った時、翔くんから電話がきた。
『智くん、今、家?』
「うん、今帰ったとこ…ってさ、どういうこと?なんで翔くんが俺のオフ知ってんの?」
『あ、聞いた?』
「さっき聞いた。だから…」
『じゃあ、出掛けるから準備して?』
「は?」
『ちょっと旅行行くから。あと20分で迎えに行く。すぐ準備してね?』
「え、ちょ、ちょっと待って!旅行って…」
『暖かいところだから、Tシャツとかだけでいいよ。それじゃ』
「翔くんっ…!」
聞きたいこといっぱいなのに、一方的に電話が切れた。
「なんだよ、もうっ!」
訳がわかんないまま、とりあえずバックに服を適当に詰める。
時計を見ると、19:23。
こんな時間からどこに行くんだよ?
ちょうど20分後にチャイムが鳴って、俺は急いで駐車場へ向かった。
翔くんの車を見つけて、助手席に乗り込む。
「お疲れ」
「お疲れ…って、どういうことっ?」
「さて、行こうか」
「どこへ?」
「成田空港」
………………はい?