第13章 キミの夢を見ていた
【智side】
シャワーを浴びながら、また洗いっこして。
中を掻き出すときに翔くんがエロい声出すから、また俺のはムクムクしちゃったけど。
「ちょっと、もう無理!」
真剣な顔でそう言われて、おとなしくシャワーを終えた。
だって、焦る必要ないもんね。
これからいくらだって抱き合えるんだし。
俺は一足先にベッドへ寝転ぶと、両手を広げて彼を迎えた。
「おいで、翔くん」
翔くんは真っ赤な顔をして、「なんだよ、それ」なんてぶっきらぼうに言いながら、それでも素直に腕の中に潜り込んでくる。
「ねぇ、気持ちよかった?」
「…うん…」
「俺も。翔くんの中、温かくて気持ちよくて、すんごく幸せだった」
言いながら、ぎゅっと腕に力を籠める。
「俺も…すごく幸せだったよ」
翔くんも、同じように抱き締めてくれて。
「愛してるよ、翔くん」
「愛してる、智くん」
眠りにつくまで、愛の言葉を囁き続けた。
ゆっくりと意識が浮上する。
頭が覚醒してくると、全身が温かいものに包まれているのを感じて。
目を開くと、超至近距離で翔くんと目が合った。
「おはよう、智くん」
爽やかに言われたけど、びっくりし過ぎて、声も出なかった。
なんで翔くんが?って思ってるうちに、昨日のことを思い出して。
あ、そっか。
抱き合って、そのまま寝たんだっけ…。
こうやって朝を迎えるのは2回目だけど、まだ慣れない。
だって、10年もの間ずっと背を向けて寝てたんだもん。
ふいに、あの頃の寂しかった気持ちを思い出して。
勝手に涙が浮かんできた。
「智くん…」
俺の考えてることがわかったのか、翔くんが微笑んでそっとキスしてくれる。
「まだ、信じられないよ。こうやって、抱き合いながら朝を迎える日がくるなんて思ってなかった」
「うん、俺も…。智くんを抱き締めて眠る日を夢見ながら、そんな日は来ないと諦めてた」
「ずいぶん遠回りしたよね」
「うん。バカみたいにね」
「…翔くん…もう、離さないから」
「俺も…智くんを、離さない」
柔らかい朝の光の中で、微笑んでキスをする。
誓いの、キスを。
「今日もマネの迎え、断るの?」
「うん」
「じゃあ、迎えが来るまでキスしてよっか?」
「キスだけ?」
誘うように首に腕を回すと。
翔くんは嬉しそうに笑って、俺の上に跨がって、キスをした。