第11章 ふたりのカタチ
【翔side】
「...潤...?」
目をぎゅうっと閉じていた潤が、俺のことを見た。
その瞳は、不安に震えるそれじゃなくて、そう...例えるなら、親の嘘を咎める子どものような...
「もう、言っていいよ...翔くん...言いたいのに、ずっと我慢して、胸の奥底に閉じ込めていたその人の名前...」
「潤...あのさ...俺」
「気付いてないなら言ってやるよ///翔くんが俺にしてること、優しさのつもりなら、それは罪だよ...
分かる??ベッドで、他のヤツの名前言われる俺の気持ち...たとえ寝言でも、相当辛いって事...」
「嘘っ..俺が?」
潤は口元を少しだけ歪めて笑った。
「気付いてないとか、マジで罪だわ///...抱いた後、うわ言で他の男を求めるとか...信じらんないよ...」
「ごめん...」
「謝んないでよ...惨めになるじゃん...
好きだったよ...翔くんが俺のすべてだった...だから、気持ちが俺にないって分かっていても、他の人が好きでも、それでもいいって思ってた...
それでも、側に居たいって...抱きしめたいって...
でも...
もう、逃がしてやるよ...閉じ込めておいても、あなたは俺のこと愛してくれない...だったらもう...」
潤が泣いている。
次から次へと、溢れる波が頬を伝う...
思わず抱きしめてやりたくて、手を伸ばすけど...
俺はその手を強く握って下に下げた。
『優しさは罪』潤の口から吐き出された言葉が、俺の頭ん中で響いてる。
「翔くん、勇気出してぶつかって!こんなに俺のこと泣かしてさ...幸せになんないと、ぶっ飛ばすからね!」
...潤...
「分かった?あの人のとこに行きなよ...愛してるって言って、抱き締めてもらいなよ///」
......
「それが俺からの最後のお願いだから...」
そう言い残して、潤は帰って行った。
一人になった楽屋で、俺は3人に言われた言葉を思い出していた。
『俺が本当に愛している人』
そんなの、分かってる、誰に言われなくたって。
忘れたくても、忘れることなんか、出来なかったんだから...
智くん...
伝えても、いいの?
今更、君に...ホントの気持ち打ち明けてもいい?
俺は、携帯でその番号を出し、画面をじっと見詰めた。