第11章 ふたりのカタチ
【翔side】
雅紀がたまには外でご飯食べよう、って誘ってきた。
断る理由もないから、もちろん俺はOKした。
雅紀が予約したのは代官山のレストラン。
携帯のnaviを見ながらたどり着いたそこは、
通りを2本入った裏通りにあるフランス料理のお店で、個室になっているから、他の客と顔を合わすこともない。
「お~、お疲れ...お洒落なとこ知ってるね~雅紀」
「...翔ちゃん...何か飲むでしょ?」
いつになく、雅紀の表情が硬い気がするけど...
気のせいかな?
俺たちはビールで乾杯して食べ始めた。
「あ、これすげ~うめっ///」
「ふふっ、でしょ?今日はコースじゃなくて、好みとか伝えてあるから、シェフのお勧めで出てくるよ..」
食事はどれも美味しくて、雅紀が言ってくれたんだろうな...新鮮な貝がふんだんに使われていた。
「なんかさ、思い出すよな~...『ひみつの嵐ちゃん』のロケ。雅紀のおもてなしで、千葉に行ったやつ...あんときの貝もうまかったよな~...相撲チューブも、超楽しかったし..」
「...翔ちゃん...」
「また行きたいよな~...」
さっきまで饒舌だった雅紀が、急に押し黙って俯いた。
...??どうしたのかな~...
「翔ちゃん...俺たちさ、別れよう...」
「えっ?別れる?...って、どうゆう...」
雅紀が言ってることが。俄かには理解できなくて、俺は雅紀の顔をじっと見つめた。
「...俺、翔ちゃんのこと大好きだった...その気持ちは、変わらないよ?今でも...でもね..」
顔を上げて俺のこと見た雅紀の目は、ゆらゆらと揺れていて...俺は言葉をなくした。
「俺は、翔ちゃんといるだけで幸せだった...一生懸命に愛すれば、きっと思い届くって、そう信じていた。けど...そうじゃなかった...」
「......」
「俺といても、全然幸せそうじゃない翔ちゃんといても、俺だって幸せになれないって...分かったんだ...」
決心したような強い瞳。
.....雅紀、俺は...
「翔ちゃん...解放してあげる...本当に一緒にいたいって思う人の元に....
今まで...ありがと..」
雅紀の目から、綺麗な涙が零れ落ちた。
「もう...泣かないって決めたのに///」
雅紀は、そう言って笑った。