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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第8章 モノクロ


【潤side】

腕の中で規則的な寝息を立ててる彼を、ずっと見ていた。

ベッドに押し倒して身体中にキスすると、何度も何度も俺の名前を呼んでくれた。

潤、もっと、って。

ちゃんと俺のこと見て、俺だけを呼んでくれた。

好きだよって囁いたら、同じ言葉を返してはくれなかったけど、嬉しそうに微笑んで、キスしてくれた。

中に入るときにゴムを着けようとしたら、そのままきてって…
潤の全部が欲しいって…。

そんなこと、言ってくれるなんて夢にも思ってなくて。
もう届かないって、そう思ってたから。

あんなことして、ボロボロになるまで傷付けて。
恨まれることはあっても、翔くんから求めてくれる日が来るとは思ってなかった。

涙が、零れて。

翔くんが、優しく微笑みながらそれを拭ってくれた。

愛してる人から求められることがこんなに幸せなことだなんて、初めて知った。

翔くん…翔くん…

何度も何度も、名前を呼んで…
その度に、嬉しそうに抱き締めてくれて…

今までの記憶を塗り替えたくて、もってるだけの愛情を全て注ぎ込むように、彼の奥に放った。

終わったあと、抱き合った温もりにまた泣きそうになった。

離したくない。

相葉くんの元に、帰したくない。

ずっと俺の側にいて欲しい。
この先も、ずっと…。

ねぇ、翔くん…
俺だけのものになってよ…。

吸い寄せられるように、小さな寝息を立てる唇に、自分のを重ねる。

「…んっ…」

瞼が震えて。
綺麗な黒曜石の瞳が、ゆっくりと現れた。

「…潤…?」

一瞬、状況が把握できなかったのか、不思議そうな顔をしたけど、すぐに優しい笑顔になってくれた。

「…身体、大丈夫?辛くない?」

丁寧に抱いたつもりだけど、舞い上がってたから無理させたかも。
そう思って聞いたら、クスッと小さく笑って。

「大丈夫だよ?潤が、優しくしてくれたから…」

頬を撫でながら、そう言ってくれた。

「…翔くん…俺と付き合ってよ…」

その手を取って、強く握る。

「俺とも会ってよ。相葉くんと付き合っててもいい。週に一度でいいから、俺と一緒にいて」

本当はずっと隣にいたい。
でも、それが無理なら、せめて…。

翔くんは、暫くの間じっと俺の顔を見つめて。

「…いいよ…」

儚げな微笑みを浮かべて。
消え入りそうな声で、そう言ってくれた。


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