第7章 maboroshi
【和也side】
相葉くんと同盟を結んだその翌日。
その日は、それぞれ別の仕事で、顔を合わす予定でもなかった。
あれから、相葉くんは何も言って来ない。
『同盟を結ぼう』と2人で決め、相葉くんは翔ちゃんの家に行ったはず...
『なんかわかったら連絡する』って言ってたのに、連絡がなかったってことは、分からなかったってことか?
悶々としていても仕方ないので、俺は仕事に出掛ける準備をしていた。
するとそこに、LINEが...
相葉くんかと思ったら、チーフからの一斉メール。急いで確認すると、
『夕べ深夜に櫻井さんが肺炎で入院しました。暫くは病院で治療します。みなさん、無理しないでください』とのこと。
翔ちゃんが、入院?
だって夕べ相葉くんが...
俺は急いで相葉くんに電話したけど、圏外なのか繋がらなかった...
仕方なく、俺は準備の続きをして、迎えに来たマネの車に乗り込んだ。
開口一番。
「ちょっと、翔ちゃんどうしたの??」
「熱が40度に上がってて、意識も無くなったみたいで。いつもの病院に担ぎ込んだみたいです...相葉さんが...」
「相葉さん??相葉くんが...何で...??」
マネージャーは俺の疑問を勘違いしたらしく、
「そうなんですよ~、あれ程行くなって言われたのに、お見舞いに行ったらしくて。そんで、倒れてる翔くん見つけて。」
「そう...なんだ..」
俺は入院したっていう翔ちゃんより、相葉くんが心配だった。きっと彼のことだから、パニックだっただろうに...担いで病院行ったのかな~??
...もしかして、電話が繋がらないのも、翔ちゃんに付き添って病院に居るから、かな~?
一人思い悩んでいても埒が明かない。
俺は一旦頭をリセットしようと、DSの電源を入れた。
運転しながら、マネは、
翔ちゃんは頑張りすぎるとか、その点俺は外に出ないから、菌も貰わないだろうとか、少しでも調子悪かったら病院行けとか....いろいろ言ってたけど。
ふと外を見ると、空はどんより曇って、今にも泣き出しそうだった...
俺は思い出したように、
「ねえ、翔ちゃんの顔見に行きたいんだけど...お見舞い..少しだけならいいでしょ??」
と言った。
「そうですね~...チーフに聞いときます」
車はそこで、局の駐車場に着いた。