第9章 媚薬。
ゆっくり引き抜かれた
彼のモノに身震いすれば
鼻がムズムズ痒くなった。
『……へっ…くしっ』
薬研様に抱きしめられているが
熱によって汗でべとべとの体は
寒さに耐えられなかった。
ズズッ…と鼻をすすれば
薬研様は申し訳なさそうな声で
私の体を支えてくれた。
薬研『悪い、冷えすぎたな。
湯浴みをして温まるといい。』
『湯浴み…?
あぁ…お風呂…ですか…?』
薬研『あぁ…。
加州の旦那達が
掃除してくれたおかげでな。』
雑用係1ヶ月…本当に
やっていてくれたとは…。
大福食べなから言う事じゃ
なかったかも…ごめんなさい。
まぁ結果的に私はお風呂に
入れるからいいとしよう!
ありがとう!雑用係様達!
『入る…えっでも、薬研様は?』
私が入っている時に
一緒に入るとでも言うのだろうか?
薬研『俺はここを片付けるさ
俺の責任でもあるからな…。』
責任…いや、まぁ…確かに
そうなんですけど申し訳ない。
私と同様に汗で体が
冷えてしまうだろうに…風邪ひく。
『駄目です、薬研様…
風邪をひかれてしまいますよ。』
薬研『………はは、こんなにされても
俺の心配をしてくれるのか大将は…
いいんだ、俺にさせてほしいんだ。』
頑なとして薬研様は
首を縦にはふってくださらない。
私もダメだと言い張れば
外気が肌に触れて、また
くしゃみをしてしまった。
『ふぇ、…くしっ!』
薬研『大将…ほら、行くぞ。』
やれやれと私に呆れたのか
私を横抱きにして立ち上がった。
『っ!?』
どこから出るのその力…。
薬研『大人しくしててくれよ、
あぁ…何かかけるものを。』
霰(あられ)もない姿の私を
隠すように布を私に被せた。
どこまでも…優しい貴方を
苦しめる私が情けないかぎりだ…
『薬研様…、』
薬研『少しの辛抱だ、すぐに着く。』
そして物置部屋を出れば
早足で浴場へと歩き出した。
ツライのは私だけじゃないのに
本音を隠す貴方もつらいでしょう。
『ごめんなさい…、』
薬研『大将は何も悪くないだろ。』
抱えられたまま彼に頬を
すり寄せてみれば薬研様は少しだけ
微笑んで優しく抱え直してくれた。
優しい貴方を救えなくて
ごめんなさい…、