第9章 媚薬。
『ひ、…ぅ…ぅ。』
ぼろぼろと涙が溢れ出れば
薬研様は動きを止め見つめた
薬研『大将…?』
『薬研様…ひ、ぅ…。』
薬研『どうした…?』
しゃくり声をあげながら
薬研様にすり寄ったもう
何もかもが限界だと告げる
『苦し…ぃの。』
全部全部…心が苦しいんです。
薬研『…俺はここにいる、』
薬研様が顔を近づけて
耳元で囁いた声に私はまた
涙が零れた。
貴方を苦しめている事がつらい
届いて欲しいのに届かない。
自分は何をして…。
『ぃっ…ぁ…ゃ。激し…っ』
薬研『…っ、忘れればいい…
俺が全部観ててやるから…。』
再び訪れる快楽に涙も
乱れた欲にかき消される。
『ぃっ…やげ…さま…ぁぅ。』
薬研『搾り取られそうだ…
なぁ、…大将。求めてくれ…
その体で俺の全てを、』
それが貴方の望み…ですか。
激しさの中で彼の心が
聞こえた気がするけれど欲に
全てを支配されてしまい喘ぐ
声だけがその部屋に響いた。
薬研『…っ、…ふっ…たい…しょ』
薬研様の動きが激しさから
小刻みに突き始め何かを導き
出そうとしている動きになった。
彼もまた次なる限界が近い。
薬研『また…イく…ぞ、』
『はぅ…ぁっ…。』
彼のモノがググッと奥に
入ってきたかと思えば…
薬研『………っ、…はぁ…っ。』
びゅるる…と中に熱いものが
注ぎ込まれた感触に身を震わせた
同じときに達していた私は
無意識に力んでいた力を抜いた。
倒れ込むように寄りかかれば
薬研様はわかっていたように
抱きとめてくれた。
薬研『薬の後遺症…だ。』
あぁ…だから、こんなに
くらくらするんでしょうか…。
『弱い…私は…よわい。』
情けなくてぐすっ…と
泣きつけば薬研様は微笑んだ。
薬研『フッ…甘えん坊だな
いいぞ、俺でよければ甘えても』
数多い短刀の中で大人びた彼の
温もりに弱りきった心は縋る。
『ん…。』
与えられすぎた快楽のせいで
体が麻痺してるのか熱さのせいで
寒さが余計肌を刺激し
彼に寄り添い抱きつく手に
力がこもる。
薬研『………いい子だ。』
よしよしと撫でる手に
今だけは自分を忘れたかった…
全部全部。
薬研様…貴方はもしかして
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