第8章 不安。
一期『体が震えてますね…、』
刀を仕舞った一期一振様が
私の頬を撫でた。
首を絞めていた手で
頬を撫でる手は冷たくて
それは刀のようで怖い…
一期『体で刀剣達に取り入っている
という噂は本当なのですか?』
頬から首へと添っていき
首筋を撫でる事で擽ったくて
身震いすれば、一期一振様は
微笑んだ。
一期『敏感なのですね…とても…』
『ん……ゃっ、』
一期『指先で反応するのですから
この手で触れた時はどうなります?』
『…っ、え…っと、』
一期『その体で答えて下さいね?』
首筋から顎に指添え上を向かせた。
『んぅ、ぅ…。』
視線が絡み合う前に
重なり合う口付けに固まる。
なぜ、なぜ…?
私が一期一振様とキスをする…?
『は…、ん…っ』
息を吸おうと口を開けば
すかさず舌が入り込む。
熱い舌が私の舌をぬるりと
絡みとれば吸い付くように
リップ音が響いてくる。
一期『…随分と慣れていますね。』
否定しようにも乱れた
呼吸が邪魔をする。
『…はぁ…っ、…っ』
胸を抑えて息を整えれば
一期一振様が背後に回る。
私を後ろから抱き締め
目を大きな手が覆い被さる。
暗くなった視界から
耳元に直接響く声が心を縛る。
一期『私にも乱れたその体
見物させてもらいましょうか…』
『ひゃ…ぅ、』
ちゅ…と耳に口付けされ
小さな声を出してしまった。
一期『望んでいるのでしょう。
慣れたその体で快楽の底を…。』
一期一振様は私の目を覆いながら
耳に唇をつけながら囁く。
『も、ゃだ…っ』
一期『連れて行ってあげますよ、』
かぷ…と耳朶に噛み付いた。
『ひぅ…っ』
軽く噛みつかれていても
熱い口の中が耳朶で感じる。
舌がぬるりと耳穴を舐め
にちゃにちゃと厭らしい音が
遮るものをなく響いてくる。
一期一振様がこんな事をする
刀剣だとは思わなかった…。
弟達に優しい彼が
こんな一面を持っているなど
他の者達は知っているのだろうか
『んぅ…ぅっ』
私が知らなくてもいいのに…。
一期『…悪くないですね、その反応』
その部屋に響くのは
楽し気に微笑む一期一振様の声と
私の淫らな喘ぐ声だけ…、
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