第8章 不安。
『腰…いだい。』
鈍い節々の痛みで目が覚める。
ズキンズキン…とした
痛みが襲ってくる中で
今の時刻を確認しようと
周りを見渡した。
キチンと簡易な服装に
着替えさせられた私以外
誰もいない部屋。
何も無い部屋で確認する術もなく
窓から見える光からでは朝なのか
昼なのかさえわからない。
私はどれくらい…寝ていた…?
『んっ…っ、いっ…た、』
立ち上がろうとすれば
無理をした腰が悲鳴をあげる。
なんて情ない姿なのだろう…。
私は何しにここに来たのか…。
鯰尾『あの…起きてます…か?』
ノック音も無しに声が聞こえ
昨日会った鯰尾様の声であった。
会った時よりも落ち着いた
声音に肩の力が抜けた。
『はい…起きてますよ…、』
(物凄く腰が痛いですが。)
私の言葉に言葉を濁らせた
迷いのあるような声で囁いた。
鯰尾『入って…いいですか。』
『えぇ…どうぞ。』
失礼します…と恐る恐ると
開いた扉から鯰尾様が覗く。
鯰尾『………?』
『情けない姿ですみません…。』
立ち上がろうとして
立ち上がれない私に首を傾げ
どうしようかと戸惑っている。
『あの…出来れば…良いのですが…』
骨喰『手をかせばいいのか。』
突然、鯰尾様の後ろから現れた
骨喰様の言葉に苦笑いを返し
『お察しが早くて助かります。』
その言葉に素直に甘える事にした。
二人が足早に近くに寄り
そっと私の手を支えて両際から
支えて立たせてくれた。
『ありがとうございます
お二人とも、さぁ…行きましょ。』
鯰尾『えっ…と、どこに?』
『手入れ部屋ですよ、
ここには資材がありませんので』
お二人の用事は別かもしれない
けれど、手当してからでもきっと
間に合うことだろうと思う。
それに…、五虎退様との約束もある。
『審神者としての仕事をさせて下さい』
私の言葉に鯰尾様と骨喰様は
悔し気な表情を浮かべ頭を下げ
よろしくお願いします…と呟いた。
お任せ下さい、お二人共。
どんなに汚れようとも
この手でなおすと決めたのですから。
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