第26章 波乱。
過去も、未来も…?
御手杵様の心の闇が
行くにも後に引くのも出来ず
わだかまりが拡がってついに
前審神者にまで縋るのか…。
御手杵『俺を使っていた
あの人なら分るかと…思ってな
あんたは笑って受けとめて
くれんだろうが…不安でなぁ…』
上半身を起こして布団に包まり
相手を見つめると御手杵様は私を
優しく包み込んで擦り寄った。
触れる髪が擽ったくて
身じろぎして背中に手を添えて
ポンポンとたたいてみた。
御手杵『こんな事に…なるなんて
思わなかったんだ…本当に、』
ごめん…ごめんな…と何度も
繰り返し謝る御手杵様の声が
痛々しく…撫でる手を早めた。
過去も、未来も…か。
『別にいいですよ、
過去とか未来とか無くても。』
御手杵『えっ…?』
『未来は見つけるものです
無ければ探せばいいし過去が
真っ暗ならそれでもいい。
必要なのは今の貴方、ですよ。』
私だって今が無ければ
審神者をやっていけないのだから…
御手杵『だ、だけどよ、俺…。』
私から少し体を離した
御手杵様は慌てている。
そんなに驚くことだろうか…
『今があれば未来は
どうとでもなりますよ、絶対。』
御手杵『ま、…前向きだなぁ…あんた』
拍子抜けしたような顔をして
御手杵様は苦笑している。
前向き…ご冗談を。
『臆病なだけですよ、
前にも後ろにも下がれない私は
今しかないのです…今しか…。
御手杵様は貴方の突きで
私を突き進ませて下さいな?』
なんだろう、ギャグっぽい
元気づけてあげたかったんだけど
私はやばい失敗したと
後悔する直前で御手杵様は
強く私を抱き締めた。
苦しくなるくらい強く…
御手杵『任せな…俺の突きで…っ
どこまでも…連れて行ってやるぜ。』
『頼もしい限りです…御手杵様…』
ありがとう…と擦り寄れば
御手杵様も温かい手で抱き締める。
今はとにかく前を向こう…
これがゲームなら何とかしなくちゃ
後悔ばかりしていられない。
とりあえず…クロをぶっ飛ばす。
今はまず…それだけを考えよう。
刀剣達の負の感情を利用し
暴走を促した汚い手口…。
クロから鍛刀された刀剣達は
どんなに足掻いても解けない
呪いの所業になりかねない…。
何とか…しなくちゃ、