第5章 伝達。
この本丸に来てからまともな
食事をとったのは今目の前にある
茶菓子(大福)と熱いお茶。
『…美味しい。』
口に広がる甘い大福に
熱いお茶が喉を通る…幸せだ。
加州『ねぇ…主、』
美味しいものを食べていると
清光は言いにくそうに口を開く
加州『主に償えるもの…ないかな。』
話によると三日月様との話し合いで
私に犯してしまった過ちを償いたい
という事らしい。
三日月『俺もお主に殺意を
向けてしまったからのう…。』
すまんかったと頭を下げてくれた。
安定『僕も…このままじゃ
何だか落ち着かないから。』
私以外の満場一致で
罰を欲しがる方々に私は
大福を味わいながら頭を
悩ませていた。
『………(大福美味しい。)』
三日月『(何か別の事を考えておるな)』
お茶を手に取りズズッ…と飲み込み
『一ヶ月、雑用係とか…。』
加州『適当に考えてない?』
『まさか、立派な罰です。』
安定『ハハッ!いいね…やるよっ
立派にこなしてみせるからね。』
助かりますとばかりに
頭を下げると三日月様の手が
優しく撫でてくれた。
三日月『なんでも言いつけて構わん
ただ、呼び方は決まったか?』
やっば、決めてないや。
考えること多いなぁ…なんて
思っていると襖が開いた。
こん『主様!只今、もどりまし…』
『おかえりぃ、こんのすけ。』
三人と共にお茶している所を
こんのすけが見た瞬間。
こん『あるじざまぁぁぁっ』
大号泣である、なぜに。
飛びついてきたこんのすけを
抱え、頭をよしよし撫でれば
お腹に擦り寄ってくる。
こん『よくぞ…よくぞ…ここまで』
今まで見ていて何も出来なかった
不甲斐ない自分を責め続けて、
今…実らせる事ができた事への涙。
『これから、だよ。
まだ始まったばかりに過ぎない。』
撫で続けながら背中をぽんぽんし
泣き続ける狐は私を見上げた。
すると、悲痛な眼差しで
こんのすけは私を見つめる。
こん『時の政府より…
お伝えしなければならない事が。』
物凄く聞きたくないけど
仕方ないとばかりに肩を落とし
こんのすけの言葉を待った。
『この本丸の前審神者が…
牢獄より逃亡してしまいました。』
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