第24章 崩壊。
山姥切様との夜を越え
朝日が上る少し前の時刻
起き抜けの私は隣に眠る
山姥切様から抜け出して
ベールとか言った白い布を
洗いに行こうと思います。
だって汚い、ほんと汚い。
手入れした時から思ってたけど
白い布は手入れじゃなくて洗濯。
一人にするのは寂しそうだから
ぬいぐるみを周りに飾っておく
寝苦しそうだなんて思わない。
なけなしの優しさで薄い白い
毛布を代わりに掛けておけば
極度の人見知りも防げる筈さ。
布越しから行ってくるねと
撫でると身じろぎする山姥切様。
そっと立ち上がって
汚い布を持って洗濯場に向かう。
薄暗い外、静かな廊下。
進む度に足の裏にひんやりとする
床の冷たさに身震いする。
もう少し厚着をすれば良かった
そう後悔をしても、もう遅い。
ギシッ…ギシッ…
床の軋む音は私の行先を
示すかのように音を立てる。
ギシッ…ギシッ…
立て付け悪いなちくしょう。
後々、この本丸も家屋点検
しないとボロ屋なのではと
いらぬ不安を覚えた。
『………ん?』
そうこうしているうちに
洗濯場が見え明かりが灯っていた
私の他にも洗濯をしにきたのかな
そう思って覗き込み中に居たのは
堀川『あれ、おはようございます。』
『おはよう…ございます…。』
私に敵意を笑みの裏に隠す刀剣。
堀川『"審神者さん"も洗濯ですか?』
にっこり…と微笑む、堀川国広様。
私は予期せぬ相手に硬直し
山姥切様の白い布を握り締めた。
向き合うとは言ったけど
今じゃねぇよ、とツッコミながら
堀川『あれ?その…白い布
兄弟の物…じゃないですか?』
『えっ!?あっ…えっと、
汚すぎて洗っちゃおうかなって…』
堀川『ははっ…確かにそうだ。
でも凄いね…兄弟からソレ取るの
すごーく、大変なんですよ?』
『寝てるところを黙って
拝借してきたので後で怒られます。』
堀川『あぁ…はは…目に浮かぶなぁ…』
堀川様は複数の衣服を
洗濯機(笑)に入れて私の白い布へ
手を伸ばして受け取ってくれた。
堀川『一緒に洗っちゃいますね?』
こくん…と頷けば堀川様は
慣れた手つきでスイッチを押す。
そして彼は、呟いた。
堀川『審神者さん…
僕に話したい事があるんでしょ?』