第22章 仏道。
沢山のぬいぐるみやら
クッションに囲まれた
幸せ部屋で安静を強いられ
布の中でぬくぬくしていた。
『ふは…幸せ…っ。』
物置部屋でも構わなかったが
皆の努力と気持ちを受け取り
この部屋に住み着く事にした
わざわざ遠くに行かずとも
この部屋に居てほしいという
皆の気持ちが温かい。
数珠丸『失礼してもよろしいですか』
ふと、聞こえる低音ボイス。
耳に直接語りかけられたような
落ち着きある声が聞こえた。
『どうぞ…?』
数珠丸『失礼します。』
スッ…と開けられた部屋に
訪れたのは数珠丸恒次様だった。
『数珠…丸様…。』
うっは、噛みそう。
態とじゃないんですごめんなさい!
数珠丸『お休みの所をすみません
貴方の見張り役を仰せつかりました』
『見張り…っ』
数珠丸『絶対安静とのことでした。』
薬研様だ絶対そうだ。
安静どころか緊張で眠れないよ
天下五剣の中の一振
日本名刀と名高い数珠丸恒次様ですよ
その隣で呑気に寝れる気がしない
しかも初めましてだし冷や汗をかく
数珠丸『どうしました。
そんなに身構えて私の顔に
何かついてるでしょうか?』
近寄ってきた数珠丸様に
体が石になるように硬直した。
彼から溢れ出るオーラに
押されてしまいそうだ。
『あ…あの…っ。』
数珠丸『熱は…無さそうですね。』
額に彼の手が触れた。
けれど彼の方が冷たいのだが…。
数珠丸『これからは交代で
貴方の見張り役が着くそうです。』
何それ酷い。信用ないな私!
まぁ!当たり前だがな!ハハッ!
『お手数おかけします…。』
数珠丸『いえ…。』
ふるふる…と首を振った
数珠丸様の表情は少し影を
纏っている事が気にかかった。
そんなに嫌か、見張り役って
思っていたけれど…。
数珠丸『なぜ…この道を
選んだのですか…あなたは。』
『数珠丸様…。』
数珠丸『その身が苦しみに
犯されているというのに…
なぜ、逃げ出さないのですか。』
伏せられた視線からは
感情は読み取れないが真剣そのもの
数珠丸『他に道があったでしょうに』
悲しみに帯びた瞳は
私の審神者への純粋な問いかけ
私はその言葉に微笑んだ。
『少し昔話をしましょうか。』