第20章 満開。
ヌルヌルと濡れた所から
宗三様は顔を離した。
もどかしい快楽の終わりに
乱れつつあった呼吸が整う。
宗三『蕩けた表情をして…
このまま僕だけの物に…、』
頬を赤く染めて愛おしく
見つめる宗三様に視線を合わせた
『宗三様…っ。』
宗三『なんです…?』
『貴方は…、』
自由になる方法を忘れたのですか?
それを言葉にする事は出来なかった
なぜなら、宗三様が唇を塞いだから
『ンッ…ぐっ。』
彼の日本の指が口の中に入り
言葉を紡ぐことを許さなかった。
『ん…ぇ、っ』
宗三『何を言うつもりです?
必要ありせんよ貴方の言葉など…
体だけあればいいのです。』
バラバラに動き出した指に
翻弄され唾液を溢れさせた。
彼はきっと…見えないものより
手に入るものを欲するのだろう
自分の価値も見えず
私に依存する狂気の影も見えず
自由を許されたが自由を知らず、
見失うのが怖いのだ。
だから手に入れる。
手を伸ばしたら届く距離に…
宗三『全て…僕の物です。』
閉じ込めてしまいたい。
『んぅ…ぇほ…ぅ、ぇ』
だらだらと溢れ出てくる
唾液など気にせず宗三様は
楽しむように指を出し入れする
苦しさで涙が滲み嗚咽をこぼす
宗三『………。』
ずぼ…っと抜かれた指に
激しく咳き込んでしまった。
『げほ…げほっ…ぅぇ、』
息苦しさの中、宗三様は
不安気な表情を浮かべていた。
まるでこんなんじゃない…と
どこかで気付き、迷い…悩む顔。
かけたい言葉があったのに
噎せた今となってはそれも叶わず。
宗三『………こちらを向きなさい。』
『ん…ぅ、』
頬に宗三様の手が触れ上を向かせた
目の前に宗三様がいて視線を合わせ
私は彼に声をかけた。
『宗三様…ちゅう、したい…。』
宗三『………っ………。』
彼との口付けは甘くて熱くて
『宗三様…?』
宗三『………貴方は、まったく…。』
『ンッ…ぅ。』
とろけるように気持ちいい。
触れた唇は熱くて夢中になる
くらい彼の口付けの虜となる。
触れる唇は柔らかくて
吐息の声は色っぽくて…
宗三『………っ、んぅ。』
口付けする宗三様は優しいから。
そして貴方を近くに感じるのです。