第20章 満開。
ズキズキ…
『………い゙っ…。』
江雪『大丈夫ですか…?』
腰の痛みが尾を引いて
朝の目覚めも最悪なものだ。
小烏丸様との情事の次に
優しいといっても江雪様の
突きは腰にキていた。
痛みに悶えながら立ち上がり
その部屋を後にしようと、
江雪様の手を借りて歩き出す。
襖を開ければ太陽の日差しが
私達を照らし出した。
(朝日が眩しいぜ…、痛い…。)
江雪様の手が有難い中
踏み出した一歩にギシッ…と
音がして振り向くと
小夜『……………江雪兄様。』
小夜様と宗三様が立っていた。
えっ…何…修羅場ですか。
神妙な面持ちの小夜様の肩に
宗三様の手が置かれた。
宗三『……………お小夜。』
江雪『どうしました…?』
流石の私も心配になり
そっとしゃがんで首を傾げた。
『小夜様…?』
皆に名を呼ばれた小夜様は
視線を上げて私を見つめた。
小夜『……………江雪兄様。』
この何とも言えない間が続く中
小夜様は意を決して呟き出す。
小夜『……………今日は…、
一緒に寝てくれますか……。』
拳をぎゅ…と握るその手が震える
(あぁ…彼もまた…寂しかったのか)
江雪『………お小夜…。』
小夜『……………寂しかったです…。』
私は申し訳なさそうに
見つめると宗三様が首をふる。
宗三『お小夜は貴方とも一緒に
寝てみたいと話していましたよ。』
小夜『……………う、ん。』
こくり…と頷く小夜様が幼く
あどけない眼差しで私を見つめ
小夜『……………いい?』
こてん…と首を傾げた。
『勿論ですよ…小夜様。
江雪様を独り占めしてごめんなさい』
私の言葉に小夜様は首を振り
"………いい。"と首を縦にふった。
甘え慣れていない小夜様の様子に
求められた江雪様は小夜様に近寄る
抱きしめ合ったお二人…
微笑み合う姿に心が救われる。
私を支えていた江雪様が離れる時
宗三様がそっと私に手を貸した。
『宗三様…。』
支えられながら宗三様を見上げると
やんわりと…微笑んでいた。
宗三『あんな風に微笑む
江雪兄様は初めてです…。
ありがとうございます…。』
その言葉に涙が溢れそうだ…。
互いが互いを想い合う…
なんて素敵な事でしょうか。