第18章 混乱。
人はいつだって悩んでる。
伝える術を探している…
『嬉しいです…小烏丸様…。』
抱き締められながら彼の
温もりにつつまれながら
擦り寄って呟いた。
『嬉しいん…です…心から、』
小烏丸『喜んでくれるか
良い子だな、お主は…。
ほれ抱きしめてやろうな。』
うまく言えない言葉に
彼は温もりで包んでくれた。
『怖がらないで…下さい。』
小烏丸『なに…っ。』
『皆の父であり貴方は
私の大切な仲間であり家族…
守ってみせます…絶対に…。』
こんな格好では信じて
もらえないのでしょうか…?
彼は怖いのだ。
手に入れた仲間を家族を
迫り来るあの影に壊されてしまう
そればかりが浮かんでいるのだ。
それ程、前審神者は凶悪。
人とは呼べぬ人の姿をした…、
小烏丸『あやつは人間では無い。
心さえ宿さぬ悪しきものだ…。』
『小烏丸様…。』
小烏丸『怖いのだよ…俺は。
やっと手に入れた愛しき者
お前を守れぬのではないか…と
弱き己が憎くてたまらん…。』
震えだしそうな程
彼は心から恐れている。
私はその背中に手を回し
強く…包める様に抱きしめた。
『私は貴方の愛しき者です…』
小烏丸『…ん、?』
小烏丸様は次に続く言葉を待つ
『愛の力で守ってみせますよ。』
"フフッ…。"
小烏丸様がおかしそうに
吹き出して小刻みに震える
私は何か間違えた…?
うまく言えたと思ったのだけど
小烏丸『そうかそうか…。
守ってくれるか…愛の力でな?』
彼は嬉しそうに頬を緩ます
見なくてもわかる彼は…きっと
心から喜んでくれている。
だってもう、震えてないもん。
『へへ…小烏丸様ぁ…。』
甘える私は弱く見えますか?
擦り寄る私の頭を撫でて
愛おしそうに額に口付けを
小烏丸『何度だって伝えよう…
俺はお前を、心から愛すぞ。』
たとえ不器用なカタチになっても
私はそれを愛と呼び続けます。
それが愛ならそれでいいのだから…
他から見たら愛とは呼べぬ
錯覚してはならないと言うだろう
でも、
小烏丸『さぁ…おいで。』
彼の愛する心は本物なのだ。
『小烏丸様…。』
それに応える為なら彼の名を
呼び続けると…ここに誓おう。
それが私の愛だから…。