第18章 混乱。
ぐったりと彼に寄りかかり
彼の香りが香ってくる。
(甘い…それでいて…苦い)
心が繋がってないからですか…?
ずる…と抜かれた彼のモノ
こぽ…っ…どろ…と溢れ出る欲。
ぶる…と震えれば寒いと
察した小烏丸様が抱き締める。
小烏丸『寒いか…?』
その声は優しすぎるくらい、
『寒くないですよ…小烏丸様…』
背中に回された手に
密着する体…聞こえる程近い距離
それでもなにかぽっかりと空く。
50音で紡がれた音は
彼の心に響いてくれるのか…
私が思うだけでそれは本当に
彼にとって満たされる音になるのか
『小烏丸様ぁ…』
わからないわからない…。
頭がぐるぐるして縋り付けば
背中をトントンと叩く手…。
小烏丸『何をそんなに泣いている…
どうした、父に言ってみよ。』
まるで子供のあやし方
実の父でさえこんな事しないのに
『小烏丸様と居たい…ずっと…、』
幼稚な言葉、伝えたい言葉
なんてちぐはぐな音になったのか
それでも彼は…
小烏丸『あぁ…父は娘と共に
ずーっとおるぞ?おいで…。』
おいでに誘われて胸元に
擦り寄ればどくん、どくん…と
彼の鼓動が伝わってくる。
温かい…寂しい…大好き…悲しい…
それは全て感情を表す言葉。
『ん…、ぅ。』
行動だけでは伝えられない想い。
小烏丸『可愛いのう…いい子だ
父をそんなに好いてくれるか。』
父に拘り家族に縛られる
きっと彼は家族を持つのが怖いのだ
壊されるから…失いたくないから
だから強く言葉以上の繋がりを…でも
心だけはどんなにしても満たされない
『なんで…貴方を…、』
傷つけてしまうのでしょうか。
小烏丸『傷つくばかりではないぞ。』
私の心を読み取ったように
彼は私のおでこに口付けを…、
『小烏丸様…』
小烏丸『心とは満たされないものだ
目に見えないからな溢れる事も無い
だからこそ求める…俺のようにな…。
だが…傷ついている訳では無いぞ。』
ぎゅ…と包まれるような抱き締め方
小烏丸『こんなにも温かいではないか』
温もりこそ見えないが
言葉以外で伝えられる感情表現。
小烏丸『家族は皆好きだ…
それ以上にお主のことも好いている
伝える術を知らんのだ…許せよ…。』