第15章 嫌悪。
刀を抜いて私に刃を向け
"大人しくしてくれます?"
って言われたら
抵抗する気なんて起きもしない。
誰も使っていない部屋に
辿り着けば私を明石様は
部屋の中へと押し倒した。
どんっ、と押されてしまい
前のめりに倒れ込み急いで
明石様から距離を取ろうとする
国行『まだ抵抗する気ですの?』
チャキ…と刀が私へと
近付くので私は震える体を抱いた。
刀を持つものには
刀からの洗礼を受けるとは
言われてきたけれど、
丸腰の私に酷すぎはしませんか。
『明石様…私何もしてません、よ』
国行『何がです?』
首を傾げて不思議そうに見下ろした
その眼鏡の奥の瞳はきょとんとする
『えっ…愛染様に吹き込むとか…』
国行『あぁ…言いましたなぁ、
まぁそれはどーでもええ事ですわ』
『はっ?』
国行『自分、考えるのやめたんよ。』
明石様は刀を鞘におさめて
壁へと立てつけた。
背中を向けた時に逃げようか
迷ったけれど明石様の背中が
あまりにも寂しそうだったから…
『はい…。』
国行『難しい事はわからへん。
何をしとったのかも忘れました。
そん時に主はんがここに来て
興味が湧きましたわ、いろんな噂で』
噂…って、何。私聞いた事ない
尻餅ついている私に
明石様は覆いかぶさって動きを
封じるかのように私を抱き締めた
耳元で低く囁いた声に
胸がどくんっ…となる。
国行『痛い事とか
気持ちいいこと好きやって
風の噂で聞いたんですわ…』
『噂怖い!!!』
本丸内での私の悪い噂が
スキップしてるよ、どうしよう
国行『なぁ、何されたいん?』
『何もされたくありません…』
国行『嘘言うたらあかんよ。
主はんその顔は誘っとる顔やろ?』
する…と頬を彼の手が撫でる。
その手は冷たくて体が震えた。
あぁ、こんなにも心も冷えきって
温もりさえ忘れてしまったの?
『あか、し…さま。』
国行『自分も楽しめたらまだ
生きたいと思えるんかな…、』
『っ…ふ、…んぅ…。』
彼の名を呼ぼうとすれば
彼の唇によって塞がれる。
口の中は熱くて触れる手は冷たい
まるで私の体温が奪われていく…、
私の体温で貴方は救われますか…?