第15章 嫌悪。
『さっさと、刀寄越せやコラッ』
こん『いきなり辛辣!!!』
酷すぎますよーと泣き出す
ついさっき呼び出したこんのすけ
いやだってさ、遅くない?
丸腰で前審神者を捕まえようとか
頭湧いてんじゃないかな、ほんと
こちとら発情期迎えた狐の奉仕で
体ボッロボロなんですけど、
言わないけど、心の中で恨む。
どぅーん!と飛びついてきた
こんのすけをわしゃわしゃする。
慣れてきたねこんのすけ
柔らかい毛は癒しなんだけど
早く刀寄越さないと毟るよ。
ゾクッと何かを感じ取った
こんのすけは恐る恐る見上げて
申し訳ございませんと俯いた。
『何を手こずっているの…?』
こん『……闘って欲しくない
私の我儘を含め貴女様に合う刀が
今作られている所なのです。』
準備するとは言ったけれど
まさか作る段階からだとは
思ってもみなかった。
そりゃ時間がかかる訳だ
でもこれで攻め込まれたら…
うん……ハハッ…考えるのやめよう。
『オーダーメイドかぁ…。』
こん『ペアともなればもう少し…』
落ち込んできたこんのすけを
元気づけるために目の前まで
抱えて微笑んだ。
『もうちょっと、我慢する。』
こん『あるじさまぁ…。』
『私の刀をよろしくね、こんのすけ。』
こん『お任せ下さい!!!』
涙を零しながら
何度も頷くこんのすけを抱き締めた。
柔らかい毛が擽ったくて
喜んでくれるこの子が可愛くて
もう少し待ってみようじゃないか。
私だけが闘っている訳じゃない
こんのすけだって傍に居てくれる。
『いつでも待ってるよ、こんのすけ
もちろん、あんたの事も待ってる。』
こん『私も主様と共に居たいです!
ずっと味方でおりますからね!!』
よしよし、叫ぶな聞こえてるから
そう思いながら撫でる手つきは優しく
満たされた中の幸せは
こんなにも素晴らしいものなのに
どうしてこうも影が付き纏うのか
影がなければ幸せなのにと思いつつ
影があるから幸せがわかるのか…。
だとしたら影の存在は必要なのか。
いや…難しい事はやめよう。
今は尻尾をふりふりする
この可愛い狐を愛(め)でることに
集中する事にしようか。