第14章 幸福。
激しい夜を迎え
訪れた変わらぬ朝に
私は早く目が覚めた。
三日月『うむ、良い朝だぞ。』
ちゅ…。
『………宗近、様…。』
起き上がった私をまた寝かせ
深い口付けをおとしてきた。
『ん…ぅ…っ。』
三日月『……っ、は…っ。』
『むね…ちか、…しゃ…』
名前を呼ぼうにも
熱い舌が潜り込み声を遮る。
ぬる…ちゅ…態と音を
立たせては強く吸い付く。
カラカラに乾いた喉が
唾液に潤ってまた乾く。
苦しくなって宗近様の
来ている服に縋り付けば
宗近様は微笑んだ。
まるで、"わかっている…"
そう言っているような表情で。
小狐丸『三日月よ、
朝から止めてやらぬか。』
三日月『…フッ、
美味そうな唇があったものでな。』
小狐丸『大丈夫か…?ぬしさま。』
"ぬしさま"さりげなく呼ばれた
私の存在名を聞き返すまもなく
小狐丸『私にも頂かなくては
商に合わないというものです。』
『えっ、ちょ…待っ…!?』
小狐丸『……んっ、』
(聞けやコラ。)
宗近様からグイッと肩を
引き寄せられ振り向けば
また熱い舌が潜り込んでくる。
『んぅ…ぅ…。』
朝から窒息死させたいのか
この二人はと思いつつその
交わす舌に絡みつく。
甘いとろけるようなキス…
傷付けられた痕さえとかす。
『こぎ…つゅねまる…、』
小狐丸『いい名で呼んでくださる。』
ニッコリと優雅に微笑んだ
小狐丸様にもはや昨夜の影はない
『んっ…ぅ、っは。』
三日月『どれ、朝から始めるか。』
するりと伸びてきた
宗近様の手にビクつき
驚きのあまり噛んだ。
小狐丸様の舌を噛んだ。
小狐丸『…っ…これはこれは…。』
『ぁ…ご、ごめんなさ…、』
小狐丸『お仕置きですかね?』
微笑んでいた笑みから
悪戯をする悪い笑みで…
三日月『どれ、手をかそうか。』
共犯に企む黒い影…どこか楽しそう。
『あ…あの…、』
私の制止も聞かずにお二人は
前後を挟んで閉じ込める。
小狐丸『さぁ、
良い声聞かせてくださいね?』
三日月『淫らに溶け込む朝も
よきかな、よきかな。』
二人の悪魔に惑わされ
欲に絡んだ朝が始まる。
快楽に満ち溢れた日常の中で
潜む影が刻一刻と迫っていた。
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