第14章 幸福。
三日月『小狐丸…。
意地の悪いことを言うな。』
私の様子にモノをずる…と
抜いてから私を抱き締めて
小狐丸様と向き合っていた。
突然の包まれる温もり。
『ぅ…く…ひ、く。』
三日月『泣くな泣くな。
誰もお前を責めておらん。』
よしよしと撫でてくれた。
呼吸も大分落ち着いてくる。
小狐丸『人の姿して人の身にならず。
刀であり人であり物であり神である。
はて…私達は一体何なのでしょうか。
人の子よ、応えてくれるか?』
後ろから問いかけられ
低く響くその声は哀しげで…。
三日月『どうした…小狐丸よ、』
小狐丸『フッ…いや、
審神者である応えが気になりまして』
宗近様に擦り寄りながら
震える唇を噛み締めてた。
自分の存在に絶望してか
生きる道筋に諦めを抱いたのか
はたまた別の理由か…
それはわからなかったけれど
汚れきった体で貴方に向けて
放つ言葉は決して綺麗なもので
語ることは出来ないだろう。
でも、伝えたい言葉はある。
宗近様に抱き着いたまま
頭を撫でられながら応えた。
『私の大切な小狐丸様です。
物だろうと人であろうと
神だろうと関係ありません。
小狐丸様ただ一人でございます』
他に理由なんて要らない。
『小狐丸様がいい…のです。』
酷い事されようと
汚されようとも…決まっている。
それは…私が………。
小狐丸『それで良いのか…?』
審神者である限り変わらない。
じゃあ…もし、
審神者じゃなくなればどうなる…
散々、狂気的な傷を負わされて
それでも笑っていられるの…?
傷痕が残るのは、わたしの…ほう?
『思ってみせましょう…。
たとえこの身が果てようとも…、』
その時の私は笑えていましたか…?
小狐丸『人の子とはなんて脆い…。』
私よりも悲しそうな小狐丸様の声
今の私では、駄目だ…。
救う事も守る事も出来ない…。
『宗近様…、』
三日月『ん?どうした。』
小さく呟いた声にもすぐに
反応をしてくれた宗近様は
少し体を離し首を傾げた。
迷いなく言葉を紡ぐ
『助けて、ください。』
その言葉に貴方は答えた。
三日月『あい、わかった。』
今は仲間に頼りましょう。
ㅤ