第14章 幸福。
米俵わっしょいのまま
辿り着きました寝室へ
『これは…。』
目の前の小狐丸様を見て
私は絶句した。
発情期末期の動物を
見た事がない事を含めて
これは酷いものだと思う。
唾液はとどまることを知らず
歯を噛み締めて衝動に耐え、
欲求の渦に飲み込まれそうな
野生の目、そこに理性はない。
野生の血が暴れ狂っている。
『小狐丸様…。』
小狐丸『出て…行け、』
唸るように息を吐きながら
言葉を何とか紡いでいる。
小狐丸『私は…いま、
何をするかわからないのですよ。』
驚いた…まだ話す理性が
残っていることに…だ。
三日月『助けを呼んできた。
もう安心してよいぞ、小狐丸。』
小狐丸『…ふ…、ぅっ…助け、だと。』
ぼたぼたと流れる唾液が
彼の限界を近づけている毒なのか
いや待てよ、
逃げ道…私にないんじゃ…。
三日月『安心せい、大丈夫じゃ。』
おぉう…、プレッシャー。
『初めまして…小狐丸様。』
小狐丸『いら、ぬ。
この部屋から早く立ち去…れ、』
頑なに私のほうを見ず
動き出そうとする体を無理やり
押さえつける小狐丸様は最早…
人の身である事を憎んでる。
残酷な結末にした人間が
醜いのだろうかと悩んでいれば
隣に立つ宗近様を見た瞬間
ゾクッ…
『えっ…、』
悪寒が、はしった。
笑っているのだ…宗近様は。
小狐丸様のこの状況を
優雅に眺めて微笑んでいる。
あぁ…彼にこんな笑みを
覚えさせたのもまた…人間か。
三日月『ほら、小狐丸。
こちらに来い、早くソレから
解放されたいのだろう。』
ガバッと後ろから
抱き締められれば服越しに
胸を揉まれた。
『ひゃ…ぅっ…。』
三日月『感度も申し分ない。
ほれ…小狐丸よ、遠慮するな。』
むに…むに…と揉まれれば
突起の赤く腫れた所まで
反応してしまい声がもれる。
『ふ…ぅ…宗近、さま…。』
三日月『俺を誘惑するでない。
小狐丸の方を見よ、奴もまた…
お主の体に夢中になる事だ。』
宗近様の手に解されれば
目の前に迫ってきている
小狐丸様に体が震えた。
獣の瞳に目を奪われて
宗近様には抱き締められて…
まるで…縛られているようだ。