第44章 満天恋月 ー 織姫争奪戦 ー / 政宗END
「んっっ…ぁあっやっ…まさ、むねぇ……っっ!」
舞の堪えきれなくなったような、甘い甘い啼き声が、御殿の自室の空気を色濃くする。
舞特有の甘い匂い。
それを堪能しながら、徐々に青い浴衣を乱して、直接肌に手を這わす。
(ああ、本当に堪らねぇ…………)
みっともなくも欲情して、それに素直に身を任せ……
そして、自分自身を解放した。
事の始まりは、半刻前の安土城に遡る。
浴衣に着替え、広間に姿を表した舞を。
御殿に連れ帰り、そして即座に組み敷いた。
舞は青い浴衣を選んで着てきた。
瑠璃色に三日月と蝶の模様が入った、その浴衣は。
間違いなく、この伊達政宗が舞のために選んだ浴衣だった。
思った通り、色白の舞にその浴衣は、あつらえたようにぴったりで……
それを着てきた、その意味。
想い合っていたのだと、理解した瞬間。
───俄然、全てが欲しくなった。
己は快楽主義者だ、でも……
ただ気持ちいい事がしたくて、舞を押し倒した訳じゃない。
心が繋がっているのなら、身体も。
そう思うのは、自然な事だろう?
確かな繋がりを実感したい。
心ほど曖昧なものは無くて。
身体ほど確固たるものは無いからだ。
余すところなく、舞を愛したい。
その熱情だけが──………
全てを突き動かす、原動力になる。
「政宗…市の、七夕祭りは……っっ?」
褥に組み敷かれ、浴衣を色っぽく乱しながら、舞が身体の下で声を上げる。
その細くしなやかな太ももを持ち上げ……
内側の白い柔肌に噛み付くと、舞はまたびくっ!と脚を強張らせた。
それを癒すように、噛み痕を優しく舐める。
粟立つ肌が愛しいが、何も言ってやらないのも可哀想だろう。
そう思って、視線を舞の瞳に向けた。
「後で七夕祭りはやる、まずはお前だ」
「……っっ、それじゃ、話が違う………っ!」
「俺はお前の方が重要だ、早く欲しい…どうしても。ずっとずっと、お前だけを見てた、舞」
敢えて本音を素直に言うと、舞は潤んだ瞳で視線を向けてきた。