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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第5章 幸せな我儘 / 織田信長




(……遅い)



既に一刻は過ぎたか。
西洋の花嫁衣装に着替えに行った舞は、まだ帰って来ない。



(やはり、俺が着せてやれば良かったか)



着せ方なんて知らなくても、何とかなる。
何度も屏風に目をやりながら待っていると……




「信長様……」



消え入る様な声がしたかと思うと、舞が屏風の裏から、ひょっこりと顔だけ出した。



「着替え終わったか?」
「は、はい。 でも……」



なんとも煮え切らない言い方。
信長は痺れを切らして、屏風に大股で近寄ると。



「着替え終わったなら、早く出てくればいいだろう」



半ば強引に舞の手を引き、屏風から引っ張り出した。








(………………っ)



舞の姿に、信長は思わず息を飲んだ。


純白の花嫁衣装に身を包んだ舞は、息を飲む程美しい。

身体の線をはっきりと映し出し、着物とは違う妖艶な色気を放っていた。


しかし、その姿に見惚れる前に、信長はどうしても舞に聞きたい事がある。




「西洋の花嫁衣装とは……そんなに肌を見せるものなのか?」




信長がそう言うのも無理はない。


白い首筋から、華奢な肩や腕は丸出し。
胸元は大きく開いているし、なんと言っても裾が短い。
脚なんて、膝上の太ももまで見えている。

前は短いのに、後ろは尾のように布地が長い。
例えて言うなら、孔雀の尾のような……



舞と言うと、真っ赤な林檎のような顔をしていた。


「な、なんかすごく丈の短いのドレスだったみたいで……」
「普通は長いのか?」
「こう言うのも無いわけじゃないんですが、普通は足が見えないくらい長いんです」
「肩や胸元は」
「ここは、これが普通です」



(これだけ肌を晒して普通とは……)



信長は感慨深くため息をついた。
この世には、理解し難い風習が沢山ある。
もっと文献などで学ぶ事はあるようだ。

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