第37章 無防備な蜜、無自覚な蝶 / 石田三成
*本編オマケ
「酷くなってる、舞、これどうしたの?」
次の日の朝。
舞の部屋に往診にきた家康は、腫れ上がった足を見て怪訝な表情を浮かべた。
舞は何も言えず、傍にいた三成に視線を送る。
三成も三成で、バツの悪そうに後ろ頭を掻いた。
「三成、お前が舞の側にいて、なんで怪我が酷くなるの?」
「家康、三成君は悪くないんだよ!」
「いえ、私のせいです。私が舞様に無理やり迫ったりしたから……」
「……え?」
三成の言葉に、家康は目を点にした。
そしてまばたきを繰り返しながら、三成に問う。
「迫ったって……」
「昨夜湯殿で、無理やり舞様を壁際に押さえつけたんです」
「三成君……それ言っちゃ駄目だよね……」
家康は持っていた消毒の瓶を足元に、ガシャンと落とした。
茫然自失の表情で口をパクパクさせたかと思ったら……
突然立ち上がり、叫びながら部屋を駆け出て行く。
「ひ、秀吉さん、三成の馬鹿が……っ!」
「ちょっと待ってください、家康様!」
「舞に、猥褻な事を……っ!」
「ああああ、待ってください、家康様!誤解です、誤解ですってばーっ!」
すったもんだしながら部屋を出ていく二人。
舞は目を丸くして、それを見ながら……
「これ、私達が恋仲になったって知ったら……」
一抹の不安を覚え、ため息をついたのだった。
終