第5章 幸せな我儘 / 織田信長
「わぁ……ウェディングドレスがある!」
安土城、天主。
様々な献上品が並ぶ中、舞が感嘆の声を上げた。
舞の喜ぶ顔を見て満足していた信長だったが、聞きなれない単語に、ふと首をひねる。
「うぇでぃんぐどれす、とは」
舞は興奮が収まらないようで。
振り向きもせず、その『うぇでぃんぐどれす』とやらに魅入ったままだ。
「西洋の花嫁衣装ですよ! 祝言を挙げる時に、花嫁さんが着る……白無垢みたいなものです」
信長の問いは聞いていたようだ。
が、こっちを向かないのが、いかせん気に入らない。
「舞」
「はい……んっ」
音も立てずに近寄り、舞の顎をすくうと、そのまま荒々しく口付けた。
舌で唇を舐めると、うっすらと開いたので、そのまま舌を差し込む。
たっぷり時間をかけて思う存分口内を犯すと、水音を立てて離れた。
「あ……」
見ると、舞の顔が真っ赤だ。
信長は妖艶に笑うと、もう一度舞の唇を舌でなぞった。
「うぇでぃんぐどれすとやらに見惚れるのは良いが、話をする時にはこっちを向け」
「す、すみません……つい興奮して」
しおしおと謝る舞の姿が、やたらと愛らしい。
その愛しい者がそこまで興味を引く『うぇでぃんぐどれす』が、信長も非常に気になって仕方が無かった。
「それが、うぇでぃんぐどれす、か?」
舞が手に取っている、純白の布に視線を向ける。
ものすごく繊細に織り込まれていて、触れると女の肌の様な、滑らかな手触りだ。